のぞみ監査法人代表 公認会計士 石野勝己のぞみ監査法人代表社員の石野勝己です。

今回はのぞみ監査法人を設立した理由をお話します。

私どもは大手監査法人を独立し、会計監査業務を一旦離れて、一人ひとりが会計コンサルティング業務(M&Aアドバイス、デューデリジェンス、株式価値評価、組織再編アドバイス、内部統制組織構築、株式上場支援)、税務申告・税務コンサルティング業務、金融機関専門の会計コンサルティング業務(貸出先の再生支援)等を約10年間行ってきました。多くは一般事業会社・金融機関・ファンドなどクライアント(社長、CFO、経営企画部、金融機関融資部、再生ファンド)との仕事であり、経理部の奥深くまで様々な案件で関与させていただいております。

また、私、石野は監査法人時代に国際部に所属していたため、海外親会社提出用の連結パッケージ作成支援業務を得意としています。この業務は単なるパッケージ作成だけではなく、監査法人とクライアントに挟まれて、両者の調整機能を果たすことが期待されています。その結果、自分の出身の監査法人はもちろんのこと、他の監査法人の担当者とも仲良くなり、多くの良質な情報を交換させて頂いております。IFRS導入コンサルティングも同様に、経理規定(Accounting Policy)作成に関与することで担当の監査法人との情報交換ができます。

2010年頃からの公認会計士の未就職問題、監査法人のリストラの状況を経て、最近感じていることは、会計監査の現場が荒れているということです。また、新聞の一面を飾るような大手企業の粉飾決算事件がたびたび起こる今の時代です。事件が起これば規制は強化されるのは理解できます。しかし、行き過ぎたマニュアル偏重の監査の悪影響で、クライアントは業務を妨害されていると感じています。バブル経済崩壊後、日本企業の多くは管理部門の採用を極度に控えてしまいました。現在35歳から45歳の働き盛りの人材がとても不足しています。先輩は相次ぐ会社法、税法、会計基準の改正や制定で、新しい規則に追いつくのが精一杯な状態です。とても若手に対する教育に時間を割くことができません。昔とは監査業界の環境が激変していますので、今は仕方がないと諦めざるを得ないことも理解ができない訳でもありません。

しかし、やはり経理部のニーズに会計士がきちんと応えていない面はあります。クライアントには監査手続きの目的を十分に説明し、無駄のない、納得感のある監査が求められています。当たり前ですが、ベテランの会計士が毅然と「ダメなものはダメ」と言うことこそが、投資家およびトップマネジメント、そして経理の現場から求められている監査サービスではないでしょうか。

私どもは監査を離れた分だけ経理周辺の経験を積むことができ、より多面的な説明ができることを自負しております。それはマニュアルに書いてあるから……ではなくて、一人ひとりの人間を見ながら納得のいく説明をすることを心がけております。私どもは今まで培ってきた経験を十分に活かし、リスクアプローチに基づく効率的な監査を実施することにチャレンジしていきます。

特に非上場会社や外資系、金融機関の経理部の会計監査をご提案してまいりたいと思っております。

石野勝己